精子競争


精子競争とは同種異個体間で起こる自分のゲノムを子孫に受け渡す時に生じる競争のことです。


ヤリイカの交接様式と精子に見られる多型。


ヤリイカでは大型のペア雄と小型のスニーカー雄の二種類がいてそれぞれが作る精子が違う(同種なのに)。

大型のペア雄は雌と交接し精莢(精子の入ったカプセルみたいなもの)を雌の輸卵管出口に付着させる。

一方、小型のスニーカー雄はペア雄の交接に割り込んで、雌の口周辺部に精莢を付着させる。

ようは小型のスニーカー雄は大型のペア雄と戦っても勝ち目は薄いからよこから割り込むことで子孫を残そうという戦略なわけですね。

ここで問題が一つ。

小型のスニーカー雄の精子は口周辺にばらまかれても海水に拡散して受精できないのでは??という問題。

小型のスニーカー雄の精子存在下に炭酸ガス注入すると、そのガスに小型のスニーカー雄の精子が引き寄せられるという実験結果がでている。この炭酸ガスに引き寄せられる性質のおかげで炭酸ガスが含まれる海水中でも小型のスニーカー雄の精子は拡散しにくくなっているのだ。

同様の実験を大型のペア雄精子でおこなっても引き寄せられることはない。

またこの大型のペア雄精子と小型のスニーカー雄の精子は大きさも異なる。また前述のように性質も異なる。
このようなことが人間ではあるだろうか?190cmの男と160cmの男で精子の大きさも性質も異なるという話を聞いたことがあるだろうか。


シカネズミ精子の集合


シカネズミ精子が塊を作る。理由はよくわからん。


精子多型


動物が同一種同一個体で複数の精子を形成すること。受精能力のある精子を正常精子、もたない精子を異形精子と呼ぶ。


ヨコスジカジカの異形精子


ヨコスジカジカの精子形成では減数分裂第二分裂のときに不均等な細胞分裂と特異的な核凝縮から異形精子と正常精子に分かれる。

この異形精子は後から放精を行うスニーキング雄の正常な精子の動きを卵塊表面で邪魔する。

通常の受精は卵塊に精子をかけることで起こる。

後から精子をかける雄の精子を先にかけた雄は邪魔したい。

異形精子がそれに役立つ(物理的に邪魔になる)

また異形精子があることで正常な精子が確実に卵に届く。

ないと卵に届く前に散らばる。