オリヅルランは猫にとって毒になるか

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うちには猫が三匹いる。三匹ともそれぞれ個性があって非常に面白い。そのうちの一人がなかなかのトラブルメーカーで、うちで育てているオリヅルランを噛んで荒らしてしまう。猫にとって毒性はないのかが気になったので少し調べてみた。

観察

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オリヅルランを食べた猫を観察してみた。行動に変化はなさそうだった。 他の二匹はオリヅルランを噛む行動は確認されていない。

日本語でGoogle

まずはGoogle。猫 オリヅルランで検索。 猫がオリヅルランを食べるというのはよくある行動のようです。 トップに出てきたのはどうやら猫に関することを書いてあるブログのようです。現在はオリヅルランはユリ科ではなく、キジカクシ科に分類されているようです。研究の進歩によって生物の分類群が変わることはあることです。 このブログ曰く、オリヅルランは猫に対して毒性を持っているので猫が食べるのは好ましくないといったことが書かれています。 具体的に何の毒なのかは書かれていなかったので、もう少し調べてみることにしました。

英語でGoogle


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chlorophytum comosum poisonousで検索。chlorophytum comosumはオリヅルランの学名です。学名はWikipediaから取得しました。American Society for the Prevention of Cruelty to Animals® (ASPCA®) という団体のホームページが見つかりました。この団体は北米の動物愛護団体のようですね。この団体によるとオリヅルラン、Spider plantは犬猫に対して毒性はないとしています。この団体は毒性のある植物についてのリストを作成しており、ホームページから確認できます。 要約すると ”このリストに書かれている植物は動物の身体全体に影響を与えるものや、動物の胃腸系の器官に対して強烈な影響を与えるものが含まれている。またこのリストは全ての植物を含んでいるわけではなく、頻繁に出会う植物について書かれている。” オリヅルラン以外にも気になる身近な植物がいればここのリストを覗いてみるのもいいかもしれませんね。

Spider Plants And Cats: Why Are Cats Eating Spider Plant Leaves And Can It Be Harmful?
には

”Spider plants contain chemical compounds that are said to be related to opium. While considered non toxic, these compounds can still result in an upset stomach, vomiting and diarrhea. For this reason, it is recommended that you keep cats away from the plants to avoid any spider plant toxicity, regardless of its mild effects. Like people, all cats are different and what affects one mildly may affect another quite differently.”(引用)

と書かれていました。ここで初めて、Opiumという化合物がオリヅルランの毒とされているらしい、という情報が出てきました。この物質が幻覚性を持っているようです。またこの物質は効果が強くないようですが、嘔吐や下痢を引き起こす可能性があるので食べさせない方が良いだろうと述べています。

UC Davis(カリフォルニア大学デイビス校)の2012年のレポート(Safe and Poisonous Garden Plants)によると、オリヅルラン(Spider plant)は安全な植物に分類されています。ただ、これは人用のレポートのようです。また、安全とは言え、多量に摂取した場合や何か症状が出た場合は然るべき機関に連絡するようにと書かれています。 ただ、ここに記載されている安全な植物リストは、一般的に安全と信じられている植物のリストというみたいです。 

そもそも毒とは

そもそも毒性という言葉が何ともあやふやに捉えられてしまいそうなので、毒とは毒性とは何かについて例を挙げて検討してみましょう。

致死的な毒の例

毒として有名なものをいくつかあげてみます。フグ毒として有名なテトロドトキシン。名探偵コナンなどミステリ系でお馴染みの青酸カリ。トリカブトのアコニチン。などでしょうか。これらの毒は致死的で、特徴として少量で致命的に効果を発揮します。要は少ない量で死に至らせることが可能です。 少量で効果を発揮するというところが大事なポイントです。

アルコールとニコチン

さらに他の例をあげてみましょう。人間が嗜好品としているタバコやお酒も毒の一種としてカウントしてよいかと思います。タバコに含まれるニコチンやお酒のアルコールです。毎年大学入学シーズンになると急性アルコール中毒で病院のお世話になる大学生がニュースにされますよね。場合によっては亡くなってますよね。これ完全に毒ですよね。 タバコの吸い過ぎで即中毒になり病院のお世話になるというニュースはあまり聞いたことがありませんが、ニコチンを高濃度で摂取すると死にます。 この両者は大量に一度に摂取しなければ死ぬことはありません。ここが前に挙げた毒物との違いです。 毒を考えるときには量のことを考えなければいけません。

毒物の量による効果の違いについて

毒物の量による効果の違いについて、アルコールを例に考えてみましょう。お酒に強い人、弱い人、全く飲めない人がいますよね。これは、アルコールを分解する酵素を作れるか作れないか、その能力が高いか低いかということが遺伝的に決まってしまっているからです。 つまり毒物の効果に関しては個体差があります。例えばアルコールの量が10を超えるとその人にとって毒となる人もいれば、アルコールの量が5を超えると毒になる人もいるし、アルコールが1でも毒になる人もいるということです。 ここで言う毒になるというのは、酔っ払うでもいいし死ぬでもいいです。

オリヅルランの毒は猫に効果があるか

話を猫とオリヅルランに戻しましょう。
「うちの猫の様子を観察したところ、食べた直後は問題がないように見えること。」
「他の猫でもオリヅルランを噛む様子が確認されているらしい。」
ということから、オリヅルランに’毒’があったとしても、それは致死的なものではないこと。ただちに猫に健康被害を与えるようなものではないことが、予想されます。

Googleで少し調べた結果、オリヅルランにはopiumという弱い幻覚性を与える化合物が含まれているらしい。しかし、その効果についてはよく分からなかった。

ASPCAの報告によるとオリヅルランは猫だけでなく犬に対しても毒性(強烈な下痢や嘔吐などの症状を与えること)はないとされていること。

以上のことから、毒があったとしても、人にとってのアルコールのようなもの、つまり過剰な摂取がみられなければ問題にしなくても大丈夫そうだと考えられそうです。 ただ、あまりにも大量に食べている、毎日食べているなどの行動が観察され、猫が具合が悪そうだという場合は病院に連れて行った方が良いでしょうね。このような記載は複数のウェブサイトも提言していました。

結論

オリヅルランは猫にとって毒性を与える植物ではないと考えられている。オリヅルランには幻覚性を与えるopiumという化合物が含まれているらしい(濃度不明)が少なくとも、少量で致命的な影響を与えるものではなさそうなこと。うちの猫が大量に摂取しているわけではなさそうなこと。から オリヅルランが(うちの)猫に与える健康被害の影響は考えなくてもいいくらいに小さそうだ。 (うちの)猫が大量にオリヅルランを食べており、その後具合が悪そうだったら病院へ行った方が良さそう。 オリヅルランが与える猫の健康被害については過敏に心配する必要がなさそうだ。 という結論になりました。 オリヅルランを育てている家庭で猫を飼っている人は、猫がオリヅルランを食べていたとしても過敏に心配なさらずに、猫の様子を見てあげることが大切なのかなと思いました。

最後に

うちの猫たちは三者三様で毎日楽しませてくれます。知らないことを知るきっかけを作ってくれたことに感謝です。また調べていくうちに、飼い主である自分の健康よりも自分の飼い猫の健康を心配している人たちが多くいるように感じられ、それもまた面白いなあと思いました。とりあえず、私の中では猫がオリヅルランを食べることで受ける健康被害よりも人がアルコールやニコチンを摂取することで生じる健康被害の方が大きいだろうと考えています。飼い猫のためにも飼い主が健康でいることが大事ですよね。