アキタの雑記

博士後期課程の雑記ブログ。 読んだ本、コンピューター系のメモ、愛猫の写真、勉強のこととか。

カテゴリ: 科学

植物の水分吸収について

今週の水曜にテストがあるのでテスト勉強として適当にまとめていきます。

植物は主に根から水分を吸収します。それが茎を通って葉まで運ばれて行きます。今回はその経路と仕組みについて書いていきます。


先ほど、植物は主に根から水分を吸収するといいましたが、これは正確ではありません。正確には、維管束植物は主に根から水分を吸収する。です。他にも、水生植物、着生植物とかあるけどここではパスします。ここでは植物という単語は、特別な指定がない限りは維管束植物を指すことにします。


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水分は主に2種類の方法で植物に吸収されます。一つ目は、積極的な吸収(Active absorption)です。これは、ATPと言われるエネルギーが必要で、水の勾配に逆らって吸収が起こります。(against concentration gradient)

二つ目は、受動的な吸収(passive absorption)です。これは、水の浸透勾配に従って吸収されるのでエネルギーは使いません。

ここで話しているのは、水分を吸収する際にエネルギーを使うかどうかがカギになっています。


次に根における水分の吸収について説明していきます。

3つの経路で水分の吸収が生じます。

一つ目はApoplast pathwayです。この経路は細胞壁の中を水分が通っていく経路です。大多数の水分がこの経路から吸収されます。

二つ目、Transmembrane pathwayは細胞の中を水分が通る経路で、一方の細胞から違う細胞へと通ります。Suberinというワックスのような働きをするタンパク質が関わるようです。

三つ目、Symplast pathwayは、plasmodesmataというcytoplasm同士を繋げている構造を通して水分が吸収される経路です。

ここまでで、根で吸収された水分は根の細胞内で3つの経路を用いて移動することがわかりました。


次に、この吸収された水分が茎を通っていく経路についてみていきます。

茎の中でも水分が通るのは導管と呼ばれる死んだ細胞の間です。死んだ細胞というのは細胞分裂や代謝を行っていない細胞という意味です。

ここでは二種類の形の異なる細胞がでてきます。Tracheids,vessile elementsです。前者が細長く、後者が短く太い形をしています。ここはそんなに重要ではないでしょう。


ここまでは根から吸収された水分が導管を通っていくことをまとめました。次はどんな力が働いて水が重力に逆らって上に上がっていくの?といったことを見ていきます。

蒸散(transpiration)についてまとめていきます。

水が導管を通って上がっていく時に使われる力はこの蒸散の引っ張る力(transpiration pull)によるものです。この蒸散というものは、大気と繋がっている葉肉細胞(Mesophyll cell)から水分が水蒸気として放出されていくことです。

概略としては導管→mesophyll cellの細胞壁→air spaceで水分が蒸気に→気孔から放出という流れです。この話は後でもう少し続きます。


ここまでで、根から吸収された水分は3つの経路で細胞に入っていき、導管を蒸散による力により吸い上げられ、葉の細胞へ行きわたること。葉の細胞内では、液体で存在していた水分が気体になり気孔から大気へ放出されること。までをまとめました。

上手くまとめられたでしょうか。次回は気孔の話をもう少し詳しくまとめていくこと思います。では。


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京都大学の本庶佑先生がノーベル生理学・医学賞を受賞したというニュース、大変おめでたいですね。
先生のインタビューで、論文のうち7割くらいが誤り。というフレーズだけが切り取られ、広まっていくのはなんとも悲しいことだなと思います。こういう人たちは、天動説地動説の話を聞いたことがないのでしょうか。疑って疑って、科学的な事実を積み重ねて議論してそれが確からしい。と確かめるのが科学ではないでしょうか。ただ、論文に書いてあること、著名な大学、人が言ったことを鵜呑みに信じるのは科学ではなく信仰だと思います。

それはさておき、食後は眠くなるのでこうやってなにかしら書くのはいいのかもしれないなあ。今日の昼ごはんは、ミックスライスという名のカレーライスチキン2個乗せ、7RMと少しお高めでした。多分、チキンが1個あたり3RM。あと、マレーシア生活1か月目の所感の続きを書こうと思います。では。
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 植物の土壌の水分勾配への反応と水分屈性による根の成長順応は変化する土壌環境への順応に不可欠なプロセスである。
しかし、根の水分屈性反応のメカニズムはまだ理解が進んでいない。
 この論文では世界中の異なる場所から31種のシロイヌナズナのEcotypeを集め特別に設計した土壌シミュレーションシステム中の水分勾配で育て、水分屈性を調べた。選ばれた三種のエコタイプでトランスクリプトーム解析と生理学的解析の比較解析が行われた。この三種のエコタイプはWs、Col-0(強い水分屈性反応のものと普通の水分屈性反応のもの)、C24(弱い水分屈性反応)の3つで、この変異系列らは水分屈性反応が変化している。
 著者らは、水素イオン流出、カルシウムイオン流入、酸化還元の恒常性、エピジェネティクス制御、植物ホルモンシグナルが
根の水分屈性反応に貢献するかもしれないことを示した。
 植物ホルモンの中で、ブラシノステロイドの働きは大いに調べられてきた。
ブラシノステロイドの生合成阻害物質の存在下で、強い水分屈性反応を示していたWsは減少した。弱い水分屈性反応を示すC24と比較したときに根の水素イオン流出と初期の根の伸長は阻害された。ブラシノステロイド非感受性変異体bri1-5は野生型Wsと比較したときに水分勾配によって高いレベルで根の伸長阻害と垂直あるいは斜めの根の湾曲を示した。
 また、著者らはBRI1がAHA2と相互作用しその発現パターンは高いレベルで調整されていることを示した。
 観察されたWsでは、この相乗的な相互作用は強い水分屈性反応に寄与するかもしれない。
 著者らの結果はブラシノステロイド関連水素イオン流出はシロイヌナズナの根における水分屈性反応において必要不可欠であることを示唆する。

慶応義塾大学鶴岡キャンパスで行われたKACに2泊3日で参加してきました。参加対象者は高校生から大学院生までとかなり幅がありました。

感想となにしたかを備忘録がてら書いてみます。

一日目
12時50分に駅待ち合わせ、その後バスで会場に。
冨田勝所長の慶應の説明と、参加者への熱いメッセージを頂きました。冨田先生はもともとはコンピュータ系の出身で、大学院でAIを研究したくて渡米、1980年代の話だからすごい。Apple2とかの時代だからねw
 冨田先生とはたまたま一緒のテーブルでご飯を食べることが出来たので、その時にもお話を伺ったがまあ面白い。この先生は博士号を3つ持っているんだけど、そのうちの一つの医学博士は自分が慶應で働いているときに慶應の医学部に入学して先生をやりながら博士号を取得したらしい。
なにを言っているのかわからないかもしれないけれど、先生かつ学生を同じ大学内でこなしていたということである。学割使ってたらしいしwちなみに正規の試験を受けて授業料を払って入学したらしい。当たり前だけど。
 なんで医学博士を取ろうとしたかってきっかけもエピソードがあって、、、前述のようにコンピュータ系だった冨田先生はある時に生物はゲノムという情報でできていることを知ってこれはコンピュータで扱ったら面白そうだと思いついたそうです。そしてその研究結果をコンピュータ系の学会で発表したらウケると思いつつもこれは生命科学だと思っていたため、分子生物学学会で発表したそうです。そうしたら、ぼろくそに叩かれてしまったのです。自分でデータを取らずに人のデータを使って発表するなんてとんでもない、生物屋でもないのにこの学会に来るななどと。と冨田先生は自分のしていることの自信があったし、叩いてくる人のことを「可哀そう。」くらいにしか見ていなかったけれども、学生は違いました。冨田先生の学生だからということで「あの先生から教わっているんじゃだめだね」などと他の先生からけなされ学生たちは傷ついていました。そんな学生たちを傷つける奴らを黙らせるために、博士号取得を目指したのです。
長くなったので戻します。

高井研先生の話
面白い。以上。高井先生の最近の著書「生命の起源はどこまでわかったのか」についての言及は一切なかったです。勉強せい!って話

ポスターセッション
意外とポスター持ってきている人が少ないように感じた。おれだってないなりに用意したのに泣
まあいいでしょう。生物系の人が多いのかと思ってたけど、化学、数学、地球環境、地質学など色々なところに興味あるひとが集まったんだなあと実感。高校生も自分で調べたことをまとめていたり、自分で研究したりしててすげえなとその熱量に圧倒された。
後半に発表する人の方が長く発表してたから後半に発表した人の方がより多くの人と交流できた?

セッション1
奥村知世先生 ストロマトライトの魅力と謎
ストロマトライトが生物起源の構造物だという仮定のもと、ストロマトライトを用いて生命の起源研究。蛇紋岩化反応がここでも登場。蛇紋岩化反応は水素やメタンが生じる反応のため、極限環境微生物の餌として生命の起源にかかわるんじゃねえかってことで重要ってことを最近知った。もう少し調べないと。

佐藤友彦
地質系のアプローチから生命の起源を研究している。集団の個体数の変化が進化において重要な要素であるというのはわかっていたようで、あまり意識していないことだった。化石の採集ってどうやって行うんだろうなあって思って聞いてみたら、どこの地域がどういう地質年代かってのは論文で報告されていて、それをもとにここら辺調査したらでるんじゃないかって当たりをつけて調査するらしい。

滝澤謙二先生 植物の色は別の惑星でも同じか?
他の星、地上に来る可視光の光の波長が異なれば植物の色も違う色になるだろう。光合成に利用できる光エネルギー量の推定や、地球型の惑星なら可視光多いから可視光利用するだろうし、赤色矮星なら近赤外線多いので近赤外線利用の植物になるだろう。近赤外線利用型の植物の進化速度は可視光利用の植物よりも遅いかな?可視光利用の方が励起バランスがいい?光合成については要勉強。

夕食会
飯美味い。先生がたに話少しは聞けて楽しかった。その後の飲み会でもいろいろ聞けた。先生がたで討論してほしいとおもった。

一日目とりあえず終了。

アストロバイオロジーキャンプに向けてジャーナルを読んでみよう。
1本目Unusual biology across a group comprising more than 15% of domain Bacteria

15%のバクテリアゲノムを含む進化的に共通してきたこのグループをCPR(candidate phyla radiation) とし

abstractしかよんでないですが、この論文では未培養のバクテリア門を定義し、その特徴、推測される機能を述べている。
特徴として
全てのCPRゲノムは小さくおびただしい合成経路のほとんどが欠落している。
rRNA遺伝子内に自己スプライシングイントロンとタンパク質がコードされている。
リボソームタンパク質と生物発生の因子がすべてない。

おそらくこれらの特徴から、共生、寄生を行っているのではないかと考えられる

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