アキタの雑記

博士後期課程の雑記ブログ。 読んだ本、コンピューター系のメモ、愛猫の写真、勉強のこととか。

カテゴリ:科学 > 生物

精子形成


始原生殖細胞が生殖腺に入り、精原細胞へ成熟する。

二倍体の精原細胞は精巣内で通常の細胞分裂により増殖する。

次に減数分裂が開始され、一次精母細胞ができ、減数分裂第一分裂が完了すると二次精母細胞ができる。

二次精母細胞が減数分裂第二分裂すると精細胞ができ精細胞が成熟すると精子になる。

精子形成では体細胞分裂と減数分裂がおこる。

精子完成


精子完成とは精子の形態変化のことを意味する。

精子完成では
  • 1.核の凝縮

  • 2.ミトコンドリアの移動

  • 3.先体の形成

  • 4.鞭毛の形成

  • 5.残余小体の放出

  • などが起こる。

    核の凝縮


    核凝縮ではヒストンがプロタミンに置き換わることで核が凝縮される。

    ヒストンは正の電荷をもつリシンが多いが、プロタミンではリシンよりも強い正の電荷をもつアルギニンが多く含まれる。

    DNAは負の電荷をもつため、より強い正の電荷をもつプロタミンと結合するほうがより凝縮する。

    プロタミンは精子特異的塩基性タンパク質。

    ミトコンドリアの移動


    2.ミトコンドリアの移動は細胞骨格をガイドにした輸送システムによって移動される。

    先体の形成


    3.もともとはゴルジ体の一部が小胞化したことで先体は生じた。

    残余小体の放出


    5.残余小体の放出は精子完成の最終段階で起こり、精子から余分な細胞質が放出される。

    この時、精子形成細胞間に維持されていた細胞間架橋も一緒に放出され個々の細胞が独立して精子となる。

    精子の形成は視床下部から放出される生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンが脳下垂体に働き、脳下垂体からは生殖腺刺激ホルモンが放出され、精巣内のライディヒ細胞やセルトリ細胞へ働きテストステロン(性ホルモン)などによって制御されている。

    精子形成は精巣内の体細胞(ライディヒ細胞、セルトリ細胞)によって制御されている

    哺乳類の受精過程


    哺乳類が受精するまでの過程を分けて説明していきます。

    以下の6つのトピックについて書いていきます。
  • 精子の遊泳と超活性化

  • 先体反応

  • 透明帯結合

  • 透明帯通過

  • 精子卵結合

  • 多精子受精拒否


  • 精子の遊泳と超活性化


    ここでは精子誘引によって精子は卵に向かって泳ぐ。

    精子誘引


    放精・放卵された配偶子の間で、卵が精子の運動を方向付ける現象。

    卵から拡散される誘引物質によって卵の周囲に生じる濃度勾配に対する精子の走化性によって成立する。

    先体反応


    精子先体反応は細胞外から流入したカルシウムイオンに反応して先体膜と精子細胞膜が融合する現象。

    先体胞に隔離された酵素が放出され先体膜は外部へ露出する。

    放出された酵素がジェリー層や卵膜を溶解し精子の侵入を可能にし、露出した先体膜にあるタンパク質を使って精子は卵膜と結合し卵細胞膜と融合する。

    透明帯結合



    透明帯通過


    透明帯と卵細胞膜の間に遊離しているCD9と精子が結合することで、精子卵細胞膜融合を可能にする。

    精子卵結合


    Izumo,Junoの話。
    精子特異的に発現しているIzumoと卵特異的に発現しているJunoが結合することで卵膜と結合。

    CD9と結合している精子と卵細胞膜融合。

    多精子受精拒否


    多精子拒否には2つの方法がある。

    一つ目は早い多精子拒否で、これは膜電位の急激な上昇によっておこる。

    二つ目は遅い多精子拒否でこれは受精膜の硬化によって引き起こされる。

    遅い多精子拒否


    精子卵細胞膜融合の後、精子が持ち込んだPLC(フォスフォリパーゼC)がIP3(イノシトール三リン酸)を産生しIP3が小胞体膜上にあるIP3R(イノシトール三リン酸レセプター)に結合することで小胞体内にあるカルシウムイオンが放出されカルシウムウェーブが起こる。

    表層粒が卵細胞膜と結合する。

    卵膜と細胞膜の間に放出されたタンパク質分解酵素によって卵膜と細胞膜の連結が切れる。

    糖鎖によって浸透圧が上昇し、卵膜と細胞膜の間に水が流入して卵膜と細胞膜を引き離す。

    ペルオキシダーゼの作用によって受精膜が硬化する。

    2年最後の期末テスト生殖生物学のテスト勉強まとめ。一番やばめのテスト。頑張ろう。

    IZUMO


    IZUMOは精子特異的に発現しているタンパク質で精子卵膜融合に必要不可欠である。

    IZUMO遺伝子をノックアウトした雄マウスは不妊になったことからも明らか。

    精子細胞膜上にある全タンパク質の抗体を作成して1つ1つそれらの抗体を試し受精が完全に阻害されるものを選択した。(抗体が結合することで正しくレセプターに結合できなくなる。)

    ノックアウトマウスを作成するにあたり、IZUMOがきちんとノックアウトされているかを確かめるのにサザンブロッ
    ト、ノーザンブロット、ウエスタンブロットの3つの手法を用いた。

    IZUMO遺伝子を雄でノックアウトしたところその雄は不妊になったが、雌でノックアウトしてもその雌は不妊にならなかった。このことからIZUMO遺伝子は雄特異的に働いていることがわかった。

    透明帯を除去した卵と精子は融合は起こらなかった。(IZUMOは正常に働いているのにも関わらず。)

    このことはIZUMOは卵と精子の融合には直接関与しているわけではないということを示唆している。

    (The immunogloblin superfamily protein Izumo is required for sperm to fuse with eggs, Oocyte-triggered dimerization of sperm IZUMO1 promotes sperm-egg fusion in mice )

    CD9


    CD9は精子卵細胞膜融合に関わる卵で作られるタンパク質。もともとはインテグリンなどと同様に細胞接着に使われたタンパク質でもある。

    CD9がない卵では精子卵細胞膜融合は起こらなかった。

    精子卵細胞膜融合に必須なタンパク質。

    CD9は卵母細胞膜の外側に分布しているが次第に透明帯と卵の間へ遊離していくことがGFPを結合したCD9の挙動を観察することで確認された。

    透明帯を通ってきた精子にCD9が結合することで精子卵細胞膜融合が出来るようになる。

    (Requirement of CD9 on the Egg Plasma Membrane for Fertilization, The fusing ability of sperm is bestowed by CD9-containing vesicles released from eggs in mice)

    JUNO


    JUNOは卵細胞膜上に存在しているIZUMOと結合するタンパク質である。

    IZUMOとJUNOが結合することで強い細胞接着が生じる。

    (Juno is the egg Izumo recepter and is essential for mammalian fertilization)

    生物統計のテス勉かねて、ちょっと書きます。専門家ではないので、間違ってたら詳しい人が教えてくれると嬉しいです。
    ランダムサンプリングのニュアンスが伝われば嬉しいです。

    ランダムサンプリング

    ランダムサンプリングを行う意義。
    統計では全標本を調べるときができない場合に、一部の標本から母集団の分布を推定したり、複数の母集団を比較する。そのため、サンプルは母集団の分布を正しく推定している必要がある。意図せず大きな個体や小さな個体ばかりを選んで集めてしまうと、誤った推定、検定をしたり、不適切なモデル選択をしてしまう。そのためランダムサンプリングは重要なのである。

    前回の例で説明すると、全人類の身長平均調べるのは厳しいから、全世界からランダムにサンプルを集めたら正しく全人類の身長平均が推定できるのでは??って感じです。

    なんでランダムなの??と言うと。。
    もし偏った地域の人ばかり集めちゃうと偏った平均がでちゃう。例えば、アジア人ばかり集めて平均身長求めた時とヨーロッパ人ばかり集めて平均身長求めた時それぞれで得られた平均を全人類の平均身長って言っていいの??って感じ。
    地域によって身長にバラツキあるんだから色々な場所の人から集めなきゃ正しい全人類の平均身長わからないんじゃない??ってこと。

    統計詳しい人が読んでて、いや違うだろ!って思った人がいたら教えてください。

    生物統計のテス勉かねてちょっと書きます。

    分散と不偏分散の違い。

    分散は各データと平均値の差を二乗した値の合計(平方和)をサンプル数(n)で割った値。
    しかしこれはサンプル平均と母平均の差のズレを考慮していないため、ランダムに抽出したサンプルの分散は母分散よりも小さくなりやすい。
    不偏分散を求める時は分散ではサンプル数(n)で割っていたところを(n-1)で割ることで偏った推定をしにくくなる。

    母平均は調べたい集団全体の平均。例えば人類全体の平均身長を求めるには全人類の身長を求めてそれを全人類の数で割ればいいが、実際それは難しい。そのため、世界各地でランダムに何人かずつサンプルを取ってそれの平均(サンプル平均)を求めて母平均がどのくらいかを推定する。

    この時にもし偏った地域からサンプルを取っていた場合母平均とは大きくずれてしまう可能性がある。(アジア人とヨーロッパ人では平均身長が違うよね。)そのため、サンプルを取るときにはランダムサンプリングが重要になる。

    次回ランダムサンプリングへ続く…

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