植物の形には意味がある
植物の形には意味がある (Beret science) [ 園池公毅 ] 価格:1,728円 |
きっかけ
この前の授業で植物の構造と機能について勉強をして植物にも多種多様な形があることを知った。またその形は環境への適応に基づいていることが多いことも分かったので、そういった勉強したことの復習を兼ねてなにかサクッと読めそうな本ないかなあと探していたところ目に留まりました。
第2章-2物の色についてのやや長い道のり・3葉緑体に光を届けるために
植物の色の見え方:色素と構造色
植物の葉の色が表裏によって違うことは葉を観察すればよくわかる。植物の葉が緑なのはクロロフィルが緑色の波長の光を利用していないからだ。しかし表裏のクロロフィル含有量に違いがないらしい。それでも色が異なるということの説明に構造色を挙げた。構造色は、物質が特定の構造を取ることによって色が見える現象である。これは色素が一部の色の光を吸収し、吸収されなかった残りの色の光が見えるということとは異なる。自然界では、構造色はタマムシの翅やモルフォチョウの翅などで見られる。 植物の表裏の色の違いは、厳密には構造色とは呼べないが表と裏の細胞の構成の違いからできると述べられている。
葉の表と裏の細胞の種類の違いが葉の表裏の色の違いを作る
葉の表側には柵状組織と呼ばれる細長い細胞がびっしりと規則正しく並んでいる。 一方で、裏側の海綿状組織では、様々な形の細胞がバラバラに隙間を開けて存在している。 この表裏の細胞の形と並び方により表裏の色の違いが生じているようだ。光の屈折と反射の話になるので物理を勉強している人にとってはあーはいはい。みたいな話なのかもしれないが、私にとってはへーなるほどという話だった。
具体的には、葉の表から光が入ると、まずは細長い柵状組織の細胞に光が入る。すると光はその細胞にそって進む。もし、裏側までこの組織が続いていたら光はそのまま裏側から抜けてしまう。しかし、裏側の方では海綿状組織という隙間が空いた色々な形の細胞がいるため、ここまで来た光は乱反射してさらに細胞の中を進む。
これは光合成にとっては非常に都合がよく出来ており、光合成について勉強していたのにこれを知らなかったおれは何を勉強したいたのだろうと、少し悲しくなった。
一方、裏側から光が入ると、裏側の海綿状組織は光を反射するため細胞の中に光はあまり入らない。葉緑体と遭遇する機会は減るつまり、光合成に使われない。だから裏から見ると葉が白っぽくみえる。 細胞の形と屈折率が光合成効率を高めるのに貢献しているということですね。
全体の感想
間違いなく生物分野の本なんだけど、自分が今まではあまり掘り下げて勉強していなかったところを掘り下げて書かれていて非常に勉強になったし面白かった。 植物の形や大きさはその機能(例えば、葉なら光合成)だけでなく、壊れにくさだったり、安定性だったりによって制限される。例えば、植物は自然では雨風にさらされ、物理的なストレスを与えられる。強風により木が折れることは台風の映像などを見れば容易に想像がつくだろう。 今までおれが勉強していたところは、例えば、光合成においては、光の強さ、利用できる水、二酸化炭素などの要素が光合成の効率に影響する。ここでは(葉の形や大きさについては考えない)みたいな感じだった。 だけど、この本ではそれだけでなく光って葉の表と裏どっちからも同じように入るの?などの問いがなされて、光がどのように入ってくるかはどちらかといえば物理の話でおれが普段あまり考えることがなかった視点だった。植物の形には意味がある (Beret science) [ 園池公毅 ] 価格:1,728円 |
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