シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源



この前の記事でも擬態の本について書きましたが、今回もまた同様に擬態系の本について書いていきます。今回はシマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源

前回の記事で紹介した本(擬態の進化 ダーウィンも誤解した150年の謎を解く 大崎直太著)では、進化生態学の観点から擬態がどのように進化してきたのかが書かれていました。しかし、擬態の模様がどのような分子メカニズムで作られるのかについては書かれていませんでした。僕はどのように模様が作られるのかなと思ったので、発生生物学的な観点から擬態の形態形成を説明しているような本を図書館でうろうろ探していたところ目についたのでそこのところだけ読んでみました。 読んだ箇所は以下の二つの章です。

第8章 蝶の目玉模様  翅の模様の意味/蝶の発明/目玉模様をつくる/私が浴びた一瞬の脚光/蝶はどうやって模様を変えるのか/擬態と色彩パターンの進化

第9章 黒く塗れ  自然界で見られる体色の黒化/ジャガーはいかにして斑紋を消したか/イワポケットマウス/黒いヒョウ、白いクマ、赤毛/哺乳類におけるおしゃれな模様の進化/自然淘汰、遺伝子、適応度

まずこの本は、小難しい生物学の理論がずらーっと並べてあるような本ではないという事は言っておきたいと思います。生物の美しい模様が、遺伝子の働きによって制御されているという複雑かつ巧妙な仕組みについて知ることができる素敵な本ですよ。

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蝶の翅の模様

まず蝶の翅の模様を思い浮かべてほしいんだけど、よーくみるとパターン化されています。パターン化というものは生物の発生において非常に重要な要素です。

例えば、指だって繰り返しの構造でしょ。植物だと、茎の節の構造とか葉の並び方とかもパターン化の例だよね。これを知ってから外に出かけて植物なり動物なりを眺めるとちょっと人生が楽しくなるかもしれない。そんなことない?

蝶の目玉模様は眼状紋と呼ばれていて、ディスタルレス遺伝子という遺伝子で決定されている。面白いのは、このディスタルレス遺伝子という遺伝子は昆虫の脚を作る遺伝子として知られてきたというところ。全く異なる器官の形成に同じ遺伝子が使われているというのは非常に興味深いことだよね。

この眼状紋がでている部分とディスタルレス遺伝子が発現している部分がぴったり重なっていることがこの本を読めばわかる。

このディスタルレス遺伝子のくだりは前に勉強していたのである程度読み飛ばした。

黒化現象

第9章の黒化現象はなかなか興味深かった。

黒化と聞いて最初に思い浮かべるのは、高校生物で勉強したオオシモフリエダシャクという蝶というか蛾である。工業暗化と言えば思い出す人もいるだろうか。

イギリスでこの蛾が白いタイプと黒いタイプの2タイプの模様がいることがわかった。第二次世界大戦だったかの時は、工業が発達してこの蛾が普段停まる木の地衣類が黒っぽい色になってしまった。そのため、この時期は体色が黒っぽいタイプの蛾は背景となる木の色と同系色のため鳥などから見つかりにくく捕食を避けられたが、体色が白っぽい蛾は逆に目立ち鳥などから捕食されやすかった。そのため、この2タイプの体色の違いで蛾の生存率が異なるということが示された。みたいなお話だったと思う。

要するに体色が違うだけで生存率に違いがでることあるから体色大事だよね、ということ。かな。
それで、黒化というのは何も蛾だけじゃないよねということで色々な動物が出されています。どうやら黒化という現象は自然界の生物のあいだではポピュラーな変化のようだ。

イワポケットマウス

イワポケットマウスというネズミは同じ地域でも生活場所によって体色が白っぽいのと黒っぽいのがいる。オオシモフリエダシャクと同じみたいに。

そして、このイワポケットマウスの体色にどんな遺伝子が働いているかを異なる2地点で捕まえられたマウスを使って調べた。その結果、異なる仕組みで同じように黒色になっていることが示されたのだ。

これは黒化という現象はポピュラーであることを示すだけでなく、この道に至るまでには複数の仕組みがあることを示した。進化の過程で獲得した結果は同じでも仕組みは異なるのだ。これは非常に興味深い。生物の柔軟さに驚かされる。

シマウマの縞

この本のタイトルであるシマウマの縞については、詳しい縞の作られ方は書いてなかったと思う。

シマウマの縞がどんな理由で進化してきたかについては様々な仮説が立てられていたと記憶している。例えば、あの縞は個体の輪郭を紛らわせて捕食されないようにするのだ。いや、あの縞はシマウマが生息しているサバンナの草原では草と同化して見にくくなっているのだ。とかね。

でも、この本ではこれらの仮説に対しての反証を挙げている。 サバンナで狩りをしていたハンターはサバンナで一番狩れる動物はシマウマだし、やつらが見にくいってことはない。とかいろいろ書かれていた。読み物としては面白かった。

シマウマの縞のでき方について知りたい人は大阪大学の近藤先生のHPを見ると楽しいと思う。文章上手くて読ませるし、現象の説明としても面白い。 チューリング波という波が鍵となっているという事らしいですよ。
からだの模様を生み出す波紋の原理(前編)

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